ネオニコチノイド系農薬の特徴と効果的な使い方

害虫対策

農業や家庭菜園をしていると、農薬の選び方に困ったり、悩んだりしませんか?

殺菌剤や殺虫剤といっても、その種類や商品はたくさんあり、どれも似たようなことが書いてあって、どのように選べばいいのかがわかりにくいですよね。

この記事では、殺虫剤の一種である「ネオニコチノイド系」農薬の効果的な使い方の他、歴史や作用の特徴、具体的な農薬名、使用する際の注意についても紹介します。

自分自身も「ネオニコチノイド系」農薬を使っていますが、使いやすく効果も高いため、とても重宝しています。

しかし、使い方を間違えてしまうと、未来永劫その薬が使えなくなってしまう可能性もでてきてしまいます。

この記事を読み終えた際には、農薬を効果的に使用することができ、きっと読者の皆様の農業や家庭菜園にお役立ちするでしょう。

スポンサーリンク

歴史

ニコチン系の農薬は日本では明治から昭和の時代までは、硫酸ニコチンという農薬が使用されていました。

硫酸ニコチンは高い殺虫作用があった農薬でしたが、同時に人畜にも毒性が強かったので、次第に使用が制限されるようになり、現在では全く使用されていません。

有機リンや合成ピレスロイド系などの農薬が台頭するなか、ニコチン系の農薬の開発は進められ、1993年にこれまでは異なる新たなニコチン系の農薬が日本で誕生しました。

それが「ネオニコチノイド系」農薬です。

「ネオニコチノイド系」はこれまでのニコチン系の高い効果を持ちつつ、人畜への影響が少ないことから、世界中で販売・使用されるようになり、現在においても主要な農薬の1種となっています。

これまでとは異なる、新しいニコチン系という意味から「Neo(新しい)ニコチノイド」と呼ばれるようになりました。

さきほど、”日本で誕生した”と書きましたが、この農薬の開発研究は日本が世界をリードして行われており、現在世界にあるネオニコチノイド系農薬7種類のうち、6種類が日本で開発された成分となっています。

機能的特徴

作用機序

ネオニコチノイド系の薬剤は、昆虫に取り込まれると、神経伝達物質アセチルコリンの受容体の一種である”ニコチン性アセチルコリン受容体”に結合します。

すると昆虫は、正常な神経伝達が阻害され、興奮状態になり、死に至ります。

簡単に言うと、虫を興奮状態にさせて殺す、ということですね。

主な特徴

ネオニコチノイド系は、水溶性であるため水に溶けやすい性質があります。

このことが功を奏して、植物に吸収されやすくなり、導管の流れに沿って植物体に移行し、全身で防虫効果が期待できます(浸透移行性)

そのため、植物の汁を吸う害虫であるアブラムシ、カメムシ、カイガラムシ、ウンカなどには、非常に効果的に防除ができ、高い効果を示します。

上記の害虫以外にも、イモムシ・ケムシ類やハモグリバエにも効果はあります。

アブラムシ
チャバネアオカメムシ

主な商品

ネオニコチノイド系の主な商品は以下の表のとおりです。

有効成分は7種類ですが、商品名だといろんな名前になるので注意してください。

商品名有効成分
モスピランアセタミプリド
ダントツクロチアニジン
スタークルジノテフラン
アドマイヤー イミダクロプリド
ベストガードニテンピラム
バリアードチアクロプリド
アクタラチアメトキサム

使用する際の注意

害虫以外にも効いてしまう

昆虫の神経伝達を阻害するという作用から、害虫だけに効くわけではなく、益虫にも影響を及ぼしてしまいます。

ミツバチのような授粉に役立つ昆虫にも影響してしまうため、授粉の時期やミツバチを使用している場合は、ネオニコチノイド系の農薬の使用は控えましょう。

ただし、モスピランとバリアードはミツバチへの影響は少ないです。

抵抗性ができてしまう

ネオニコチノイド系に限ったことは有りませんが、農薬は同じ系統を連続で使用すると抵抗できてしまい、その効果が無くなってしまいます。

実際に、国内でもネオニコチノイド抵抗性のワタアブラムシやミナミキイロアザミウマの発生が確認されています。

抵抗性が出てしまうと農薬の効果は無くなってしまうので、水を撒いているのと同じことになります。

(益虫を殺してしまうので、水を撒くよりひどいかもしれません。)

抵抗性を出さないために、年間(一作)で使う回数は2〜3回として、他の系統の薬剤とローテーションをさせましょう。

おすすめの使い方

ネオニコチノイド系のポイントは、様々な害虫に効き、アブラムシのような吸汁性の害虫には特に効果が高いことです。また、浸透移行性が高いことです。

これらの特性を活かすおすすめの使い方としては、以下のとおりです。

  • 複数種の害虫が発生した(発生しつつある)場合に使用する。
  • アブラムシやカイガラムシが特に多く発生する時期に使用する。
  • 苗の定植時に同時に土壌処理する。

もちろん、上記以外の時に使用しても問題ありませんが、効果的に使うのであれば、使用する時期やタイミングを抑えるとよい農産物ができると思います!

他の殺虫剤については↓のリンクをご参照ください。

ちゃんた

農業系の大学と大学院を卒業し、10年以上農業関連の仕事をしています。
これまでの経験や知識を活かして、皆様のお役に立つ情報をご提供していきます。
家庭菜園〜本格的な農業に関すること、自分自身の家庭菜園での副業についても記事にまとめています。
技術士(農業部門)の資格保有。

ちゃんたをフォローする
害虫対策農薬Tips
ちゃんたをフォローする
農ライフログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました