2022年の2月のロシアウクライナ戦争によるガソリン価格や小麦価格の上昇、アメリカの金利上昇・日銀の金融緩和の維持による円安の進行などにより、農業に使用する肥料や資材はこれまでになく高騰しています。
一方、2022年9月時点で、野菜などの農作物はコロナ禍による需要低下がなかなか回復せず、価格上昇には至っていないところが現状です。
そのような状況で、国では肥料高騰対策の補助金を出すなどして、農家経営の支援をしているところであり、そのような制度は最大限利用するが得策だとは思います。
その他にも、節約できるところはできるだけ節約をし、お金をあまりかけずにこれまで通りの生産を維持できるような体制を整えていくのも重要です。
今回の記事では、ジアミド系殺虫剤の主な商品について、1Lあたりの単価を調べてみました。
今後の薬剤選択や経営改善の一助になると幸いです。
薬液1Lあたりの単価を計算
ジアミド系殺虫剤5種の主な商品の薬液1Lあたりの単価を計算しました。
前提として、最大容量の価格から計算、商品価格は平均的な値としました。
少量の容器やもっと安いお店で買えば、当然計算結果が異なることは予めご了承ください。
散布剤
薬品名 | 容量 | 価格 | 商品1g(ml)の単価 | 1,000倍 | 2,000倍 | 2,500倍 | 3,000倍 | 4,000倍 | 5,000倍 |
フェニックス顆粒水和剤 | 250g | 5,200円 | 20.8円 | 10.4 | 8.3 | 6.9 | 5.2 | ||
プレバソンフロアブル5 | 200ml | 3,300円 | 16.5円 | 16.5 | 8.3 | 4.1 | |||
サムコルフロアブル10 | 500ml | 7,700円 | 15.4円 | 6.2 | 5.1 | 3.9 | 3.1 | ||
エクシレルSE | 500ml | 9,200円 | 18.4円 | 9.2 | 7.4 | 6.1 | 4.6 | 3.7 | |
ベネビアOD | 500ml | 10,800円 | 21.6円 | 10.8 | 8.6 | 7.2 | 5.4 | 4.3 | |
テッパン液剤 | 500ml | 5,200円 | 10.4円 | 10.4 | 5.2 | ||||
ヨーバルフロアブル | 500ml | 13,500 | 27円 | 10.8 | 9.0 | 6.75 | 5.4 |
表の見方としては、例えばフェニックス顆粒水和剤であれば、2,000倍に希釈すると薬液1Lあたりの価格は10.4円になるということです。数字が小さいほど、値段が安いということになります。
当然ですが、同じ商品であれば、倍率が低い(濃度が濃い)ほど薬液1Lあたりの価格は高くなります。
サムコルフロアブル10を5,000倍で使用するのが最も安く(3.1円/L)、プレバソンフロアブル5を1,000倍で使用するのが最も高い(16.5円/L)という結果となりました。
最高値と最安値の差は13.4円となり、約5.3倍の差がありました。
灌注剤
薬品名 | 容量 | 価格 | 商品1g(ml)の単価 | 100倍 | 200倍 | 400倍 | 1000倍 | 4000倍 |
プレバソンフロアブル5 | 200ml | 3,300円 | 16.5円 | 165 | 82.5 | |||
ベリマークSC | 100ml | 6,600円 | 66円 | 165 | 66 | 16.5 | ||
ヨーバルフロアブル | 500ml | 13,500円 | 27円 | 135 |
ベリマークSCを4,000倍で使用するのが最も安く(16.5円/L)、プレバソンフロアブル5の100倍とベリマークSCの400倍が最も高い(165円/L)という結果となりました。
最高値と最安値の差は148.5円となり、10倍の差がありました。
まとめ
今回、ジアミド系殺虫剤の薬液1Lあたりの価格を調査してみました。
その結果、散布剤では最安値と最高値で約5.3倍、灌注剤では10倍と商品によってそれなりの差があることがわかりました。
1Lだけで見れば大した差ではないですが、実際に使うのは1,000L以上になることもあります。そうなると、1円の差でも1,000円となりますし、回数を重ねればその分差額も多くなっていきます。
ただし、商品によっては機能性が異なっていたり(浸透移行性があるもの、多くの害虫に適用があるもの等)、使用できる品目が限られていることもあります(エクシレルSEやテッパン液剤は果樹が中心の登録)。
したがいまして、価格だけで商品の善し悪しを比較するのは難しいと思います。
とはいえ、自分が育てている品目で、ターゲットとする害虫を定めた上で、他に安い薬剤がないか検討することは、コスト低減にもつながりますので有効だと思います。
また、当然ですが希釈倍率を高くすることもコスト低減には効果的です。例えば、今まで2,000倍で使用していたものを4,000倍で使用すれば、単純に農薬コストは半減になります。
商品によっては薄い倍率では登録が無いこともありますし、薄く使用すると残効性が低下するという懸念もあるため、害虫の発生状況によって希釈倍率を決定するようにしましょう。
農薬を賢く使うことで、経営コストの改善につなげていきましょう!
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