家庭菜園をしていると,いつの間にか野菜や果実についているカメムシ。あまり被害としては大きくないかもしれませんが,見つけるとなんとなく嫌な気分になりますよね。
インターネットでカメムシの対策を探すと,さまざまな方法が出てきますが,中には本当に効果があるの?と思うようなものもあります。
家庭菜園レベルであれば,あまり気にすることはないかもしれませんが,プロ農家の方にとってはカメムシの発生は死活問題になることもありますので,これから書く対策を行うことでバッチリ駆除できます。
この記事では,性質の異なる3つの対策方法について紹介します。これらはいずれも効果がありますので,確実にカメムシを減らすことができます。
この記事を読み終えた際には,もうカメムシの大発生に悩まされることはきっとなくなるでしょう。
カメムシの生態
好き好んで野菜を食べているわけではない
カメムシの本来の餌は,ヒノキやスギなどの種子であるため,基本的には山林で生活していることが多いです。
カメムシの口は,蚊のようにストロー状になっており,口から植物の細胞を溶かす液を出しながら種子の殻を柔らかくし,種子の中の脂肪成分を吸収します。
しかし,山林でこれらの餌が少なくなると,新たな餌を求めて山から降りてきます。
そして,たまたま見つけた我々が育てている農作物を見つけて,餌だと思いやってきます。
しかし,ご存じのとおりナスやりんごといったカメムシが好む果実は,果肉が厚くカメムシ程度の口針ではとても種子までは届きません。
それでも,カメムシが飛来してくるのは,理由ははっきりとはしていませんが,以前はこれらの野菜も現在のように品種改良されて果肉部分が多くなく,餌としては有用ではあったが,人の手によって品種改良され,果肉部分が多くなっても本能的に餌と認識しているのではないかと思われます。
つまり,好きな餌ではないけど,なんとなく美味しいだろうなあと本能的に刷り込まれている結果ということでしょうか。
(本当のところは,カメムシに聞いてみないとわかりませんが・・・)
対策① 手で取り除く
カメムシはどこからか飛来してきて,野菜や果実に付着します。
基本的には単体で行動しているため,発生初期であればごく少数しかいないと思います。
ですので,見かけたらすぐに捕まえて処分してしまうのが,最も効果的な方法です。
ただし,カメムシは危険を察すると臭い匂いを出しますので,覚悟してください。
対策②網で作物全体を覆う
発生初期は,単独でいることが多いカメムシですが,餌があると思い込むと仲間を呼び寄せる性質があります。
野菜や果実は本来の餌ではないのですが,餌があると思い込み,集合フェロモンを放出します。
集合フェロモンとは,名前のとおり,他の仲間を呼び寄せる性質があるため,次第に数は増加していきます。
少数であれば手で取り除くことは可能ですが,多数になると大変だし,なにしろ臭いです。
そこで,作物全体を網で覆うことでカメムシを物理的に遮断します。
そのほかにも果実を袋をかけるのも効果的です。(ただし,果実が大きくなって袋がパンパンになってしまうと,上からでもカメムシに食べられてしまうので注意してください。)
網で覆う場合は,カメムシはアブラムシやアザミウマほど体は小さくないので,5mm程度の眼合であれば効果はあります。
この方法であれば,カメムシはそもそも作物に付着しないので,集合フェロモンを出される心配もありません。
プランター栽培や小規模での栽培,また農薬を使いたくないという人はおすすめの方法です。
対策③農薬を使用する。
手で取り除いたり,網で覆ったりすれば,被害はほとんどありませんが,規模が大きかったり,虫に触るのが嫌だという人は,農薬を使用するのがおすすめです。
農薬は,メーカーが試験を行い,効果が一定以上あるものが登録され,販売されます。
市場に出回っている農薬は,これらの試験を通過しているものなので効果が期待できます。
プロの農家さんも通常は農薬を使うことで,カメムシを効果的に効率的に駆除しています。
しかし,農薬にもさまざまな種類があるため,必ず農薬の裏面や説明書を読み,対象害虫にカメムシがあることを確認しましょう。
私がおすすめする農薬は,ピレスロイド系統の農薬です。
具体的な商品名はロディー乳剤などがありますが,プロ仕様なので量が多いため使いづらいです。
家庭菜園レベルであれば,ベニカAスプレーが購入しやすく,効果も期待できます。
ピレスロイド系薬剤は,農薬のみならず家庭用の殺虫剤やペット用の殺虫剤にも幅広く使用されています。
※家庭用の殺虫剤は,農作物には絶対に使用しないでください。農薬取締法違反になります。
そのことからわかるように,非常に安定した効果を得ることができます。
ピレスロイド系統の主な特徴として,以下の2点があります。
いろいろな害虫に効果がある。
カメムシの他にもイモムシやケムシ,アブラムシなどといった,多くの害虫に効果があるため,非常に使いやすい農薬です。
また,効果も高く安定しています。
しかし,多くの害虫に効果がある反面,害虫ではない虫にも影響を与えてしまいます。
たとえば害虫の天敵にも影響が出てしまうので,結果として害虫が多発してしまうこと(リサージェンス)がありますので,使用する際は適度に使用しましょう。
忌避効果がある。
ピレスロイド系統は,蚊取り線香にも使われる薬剤であり,殺虫効果のほかにも忌避効果が期待できます。
つまり,一度ピレスロイド系統の薬剤を散布しておけば,10日程度はカメムシやその他の虫を寄せ付けない効果もあるため,害虫の管理がしやすくなります。
ただし,10日もすれば効果が切れてしまうので,カメムシがまた発生するようであれば散布する必要があります。
まとめ
- 手で取り除く。
- 網で作物全体を覆う。
- 農薬を使用する。
これらのいずれかでも効果はありますが,複数を組み合わせることでより対策を強化することができます。
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