我が家では”家庭菜園で副業!”を目指して、現在ブドウを栽培しています。
一般的にブドウは平棚で栽培するのですが、我が家の小さい庭(30坪)での栽培であることから、ウチでは垣根仕立てを採用しました。
作物を栽培する上で欠かせないのは、病害虫対策であり、その大部分は農薬が担う部分が多いと思います。
しかし、ひとくちに農薬と言ってもホームセンターに行けば多種多様の農薬が販売されており、どの商品がどんな病害虫に効くのかも勉強しないとわかりません。
今回は、その農薬の選択における注意点、特に有効成分が同じ農薬があることについてご紹介します。
商品名は違っても、有効成分が同じ場合がある
販売場所の違い
農薬は商品ごとに農林水産省に登録され、登録番号が付与されるのですが、世の中には違う登録番号すなわち違う商品にも関わらず、登録内容が同じ農薬が存在しています。
たとえば、
アルバリン顆粒水溶剤(登録番号:20812)とスタークル顆粒水溶剤(同:20813)や、
チオノックフロアブル(同:21525)とトレノックスフロアブル(同:21875)
などがあります。
これらの薬剤は、登録内容(適用作物や使用倍数など)が全く同じにも関わらず、商品名が異なっています。
なぜこのようなことが起きるのかというと、販売場所の違いです。
農薬は商流が2パターンあり、農協ルート(系統)と一般販売店ルート(商系)です。
最近はあまり関係なくなってきていますが、以前は、メーカーによっては農協には販売できない、またはその逆もあるとのことでした。
そのような経緯もあり、農協ではスタークルとトレノックス、ホームセンターではアルバリンとチオノックを扱っています。
したがって、内容は同じものを大人の事情で名前を変えて販売しているということになります。
登録内容の違い
上記は、販売場所の違いから、同じ内容でも違う商品名で販売している事例でした。
その他にも、同じ有効成分ではあるが、登録内容そのものが違うという場合もあります。
たとえば、
アフェットフロアブルとフルーツセイバー
プレバソンフロアブルとサムコルフロアブル
などがあります。
これらは、メーカーが戦略的に登録を分けている事が多いです。
上記で言うと、アフェットとフルーツセイバーはどちらも「ペンチオピラド」が有効成分であり、メーカーは三井化学の商品です。アフェットは主に野菜に登録がある一方で、フルーツセイバーは果樹のみに登録があります。
また、プレバソンとサムコルは「クロラントラニリプロール」が有効成分で、メーカーはFMCです。プレバソンは主に野菜、サムコルは果樹に登録があります。
どちらのメーカーも有効成分の含有量を少し変えているのも特徴です。(アフェット:20%ーフルーツセイバー:15%、プレバソン:5%ーサムコル:10%)
メーカーがどうしてこのような戦略を取っているのか分かりませんが、何かメリットがあるのでしょう。ただ、家庭菜園レベルでいろんな品目を栽培する側とすれば、1つの商品でいろんな作物に使えるのがいいんですけどね・・・。
農薬の使用回数には、商品と有効成分の2種類がある
農薬は商品ごとに使用回数が決められており、それは商品のラベルで確認することができます。
例えば、アルバリンとスタークルのナシにおける使用回数はそれぞれ3回以内ですが、両者を3回ずつ(合計6回)使用してはいけません。
農薬の使用回数は、商品の回数の他に有効成分の使用回数も定められており、この場合、有効成分ジノテフランの使用回数は3回以内となっています。
したがって、アルバリンとスタークルは同じ有効成分であるため、合計3回までしか使用できないということになります。
混合剤の場合は特に注意
これまでは単一の有効成分(単剤)の商品の話でしたが、農薬には他に混合剤というものもあります。
混合剤とは有効成分が2種類の商品のことを言い、オキシラン(有機銅とキャプタン)やゲッター(チオファネートメチルとジエトフェンカルブ)などがあります。
注意してほしいのは、同じ有効成分の単剤が販売されているということです。
オキシランでいうと、有効成分の有機銅は「キノンドー」として、キャプタンは「オーソサイド」として商品化されています。
オキシランとオーソサイドを使うのであれば、有効成分の使用回数には十分注意してください。
まとめ
農薬は多種多様で効果も様々である一方、実は同じ有効成分であるということも少なくありません。
今回紹介した事例以外にも、剤形の違い(フロアブルと粉剤、水和剤と乳剤など)もあります。
有効成分を覚えるのはなかなか大変ですが、無駄な出費や法令違反を未然に防ぐには、有効成分についても理解しておくことが大事です。
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