ストロビルリン系農薬の特徴と選び方

病害対策

農業や家庭菜園をしていると、農薬の選び方に困ったり、悩んだりしませんか?

殺菌剤や殺虫剤といっても、その種類や商品はたくさんあり、どれも似たようなことが書いてあって、どのように選べばいいのかがわかりにくいですよね。

この記事では、殺菌剤の一種である「ストロビルリン系」農薬の効果的な使い方の他、歴史や作用の特徴、具体的な農薬名、使用する際の注意についても紹介します。

自分自身も「ストロビルリン系」農薬を使っていますが、使いやすく効果も高いため、とても重宝しています。

しかし、使い方を間違えてしまうと、大失敗したり、未来永劫その薬が使えなくなってしまう可能性もでてきてしまいます。

この記事を読み終えた際には、農薬を効果的に使用することができ、きっと読者の皆様の農業や家庭菜園にお役立ちするでしょう。

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歴史

以前から自然界に存在する生物は、菌や細菌に効果のある物質を出すことが知られていました。

そのことから、世界の科学者達は自然界からあらゆる生物(細菌やカビ等)を採取し、活性のある物質を探索していました。

その中で、1965年に食用キノコから発見された天然生理活性物質(ストロビルリンA)が菌類に活性があることが発見され、以降、農薬に使用するための研究が行われてきました。

この、ストロビルリンAと同じような性質をもつ薬剤系統をストロビルリン系と呼ぶようになりました。

 

機能的特徴

細胞の呼吸系を阻害し、菌を死滅させる。

ストロビルリン系の薬剤は、菌に取り込まれたあと、呼吸を司るミトコンドリアの電子伝達系に作用し、菌の呼吸経路を遮断します。

より詳細に述べると、電子伝達系の複合体Ⅲ(下図の赤枠)のチトクロムbに作用することで、その後の水素伝達を阻害し、結果としてATPが生産されなくなります。

 

ATP生産回路が遮断されてしまうため、菌はそれ以上生存することができず、またたく間に死滅します。

作用する位置が外側にあることからQoI(キューオーアイ、Quinone-outside Inhibitor)とも呼ばれます。

※内側に作用する薬剤はQiI(Quinone-inside Inhibitor)です。

ATP合成の図
ATP生産の模式図。複合体Ⅲ(赤枠部分)にストロビルリン系は作用し、水素伝達を阻害する。画像はWikipediaより

 

高い防除効果と広い対象

農薬の効果を調べる際は、基本的には他の薬剤も同様に試験を行い、効果の差を比較するのが通常です。

これまでに、各県の農業試験場や農薬メーカーが行っている試験において、ストロビルリン系の薬剤は、他剤と比較して高い効果を出しています。

また、ストロビルリン系の一種である「ストロビーフロアブル」の登録作物・病害は59作物102病害と非常に多く、多くの作物の病害に対して効果があることがわかります。

 

病原菌は、大きくわけるとカビ、細菌、ウイルスの3種類に分けることができますが、ストロビルリン系は多くのカビに効果があります。

カビといっても、さらに細かく分類でき、主に以下のように分けられます。

ストロビルリン系はいずれの菌にも高い効果を示し、他の系統にはない特徴です。

  • 子のう菌類・・・うどんこ病、炭疽病、灰色かび病
  • 担子菌類・・・さび病
  • 卵菌類・・・べと病、疫病

主な商品

ストロビルリン系の主な商品は以下の表のとおりです。

商品によっては、薬剤形態が違うので購入の際は注意してください。

(例:ストロビーには、「ストロビーフロアブル」と「ストロビードライフロアブル」の2種類があり、それぞれ農薬登録も異なります。)

商品名 有効成分
ストロビークレソキシムメチル
アミスターアゾキシストロビン
スクレアピラクロストロビン
ファンタジスタピリベンカルブ
ナリアピラクロストロビン
シグナムピラクロストロビン
フリントトリフロキシストロビン
オリブライトメトミノストロビン
イモチエースメトミノストロビン
オリサストロビン
ホライズンファモキサドン

※ナリア、シグナム、ホライズンにはストロビルリン系以外の農薬も含まれています。

 

使用する際の注意

効果が高く、様々な病害に効果があるストロビルリン系ですが、その反面、使用の際には特に注意が必要です。

 

耐性菌がでやすい

ミトコンドリアの呼吸系を阻害することは、菌の生存に大きく関与する部分を阻害するため、菌の方も薬に負けじと対抗策をうってきます。

その一つが耐性菌です。

ストロビルリン系は特に耐性菌が出やすい農薬です。

 

耐性菌は、同じ商品や同じ系統の農薬を連続で使用していると、いつしか発生し、徐々に増えていきます。

耐性菌の密度がまだ少ないうちは、薬剤の効果はありますが、耐性菌が多くなってしまうと効果はなくなってしまいます。

 

そうならないようにするためには、耐性菌の出やすい商品や系統は連続で使わず、他の系統の薬剤とローテーションをさせましょう。

 

薬害がでる場合がある

ストロビルリン系はミトコンドリアに作用しますが、植物の細胞にもミトコンドリアは含まれています。

使用条件によっては、菌だけでなく植物のミトコンドリアに作用してしまうことがあり、その場合、薬害が発生してしまうおそれがあります。

各商品の説明欄をよく読んで、使用上の注意を確認してから薬剤散布するようにしましょう。

 

おすすめの使い方

ストロビルリン系は効果が高く、対象病害が多いので、使い勝手がとても良いですが、一方で耐性菌が発生しやすいといった欠点もあります。

この特徴を踏まえて、病害防除のポイントとなる時期についてはストロビルリン系を使い、そうでない時期は他系統の薬剤に変えるなどして、耐性菌の発生を抑えつつも効果的に病害対策を行いましょう。

農業系の大学と大学院を卒業し、10年以上農業関連の仕事をしています。
これまでの経験や知識を活かして、皆様のお役に立つ情報をご提供していきます。
家庭菜園〜本格的な農業に関すること、自分自身の家庭菜園での副業についても記事にまとめています。
技術士(農業部門)の資格保有。

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