我が家では”家庭菜園で副業!”を目指して、現在ブドウを栽培しています。
一般的にブドウは平棚で栽培するのですが、我が家の小さい庭(30坪)での栽培であることから、ウチでは垣根仕立てを採用しました。
さらに、欲深い僕は2倍の果実を採るために、主枝を上下2段に配置にさせようと企んでいます。
2022年は初めてブドウ果実を収穫ができ、2023年は樹を大きくしつつ収穫量を上げてきました。
今回は、その2段垣根仕立ての2024年の栽培の様子をご紹介します。
収穫までの栽培については、下記の記事をご覧ください。
剪定(2月)
ナシの剪定は例年12月〜1月の寒い時期に行うのですが、ブドウは2月下旬ごろと少しあたたかくなってからやるようにしています。
というのも、あまり寒い時期から枝を切ってしまうと寒さに負けて枯れてしまいそうなので、気温が上がった頃を見て剪定を始めています。
とはいえ、12月にブドウの剪定をする方もいますので、ご自身の作業の都合とかを見て決めるのが良いと思います。
剪定方法については、過去の記事を参考にしてもらいたと思いますが、ぼくは2芽残して切り戻すようにしています。
ぼくの畑の垣根仕立てでは、1芽残しにしてしまうと主枝に沿わせた番線と果実が同じ高さに来てしまい、袋掛けの作業が非常にやりづらくなってしまいます。ですので、2芽残しにすることで着果位置を高くしてやり、作業性を向上させています。
ブドウの木も植えてから5年経過し、一人前の木になりつつあります。そうするとたまに芽がなくなってしまう部分も出てきたりするので、そういう場合は昨年の結果枝を主枝の添え木にように曲げてやることで、芽を補うことができます。
ブドウは骨格となる主枝をきちんと作ってやれば、あとは2芽残して切るだけなので、非常に作業は簡単です。1日で終わってしまいました(いや、半日でも十分かも)。
↑ 剪定前の木
↑ 剪定後
雨よけ(3月)
剪定もおわり、気温が上がるのを待っていると、剪定切り口からは水が滴り落ちる減少が見られます。これはブドウの木が水を吸い上げ始めた合図であり、今年の生育のスタートとなります。
休眠が完全に終わり、これからは気温の上昇とともに生育が進むようになります。
この頃に、病害防除(兼生育促進)を目的にブドウに雨よけをしてやります。
雨よけは専用の骨組みを作ってやり、そこに0.1mm厚程度のビニルを覆い被せることで行います。
ビニルはホームセンターでも売っていますが、やすいのは0.02mmや0.05mmで、非常に破れやすいです。
雨よけを行うことで、ブドウの新芽が雨に当たらなくなり、黒とう病やべと病のなどの病害を大部分抑えることが可能となります。特に黒とう病については、シャインマスカットでの発生が多く、いくら農薬を撒いていてもなかなか抑えることはできません。しかし、雨よけをしてやることで、農薬を多少抑えめにしても、黒とう病を防ぐことが可能になります。
また、ビニルでブドウを覆ってやることで周辺の気温を若干上げると思いますので、わずかながら生育促進にも役にたっているのではないかなと期待しています。特にぼくの巨峰は、収穫が早いタイプなので、生育が早いと8月のお盆前に収穫ができ、売上も伸びる傾向にあります。
ジベレリン処理(5〜6月)
例年5月下旬頃になると、多くの新梢には花房が着生し、順次花が咲き始めます。ブドウの花の時期はジベレリンの時期です。
昨年は、フルメットの濃度を間違えてしまうという失敗をしたので、今年はそうならないように特に気をつけました。
今年のジベレリンとフルメットは下記のとおりです。
1回目ジベ25ppm+フルメット3ppm
2回目ジベ25ppm+フルメット5ppm
1回目のときはフルメット3ppmを、2回目は5ppmと、論文等を参照にしながら、着果性と果実肥大性、食味などを考慮した濃度にしました。
結果については、収穫の項目でお伝えします。
ショットベリー
花房にジベレリンを処理すると、軸が伸びて一気に房が長くなるのですが、今年は房が湾曲しているものが特に目立ちました。
なぜこのような状況になったのか調べてみたところ、どうやらショットベリーというもののようで、満開と同時にジベレリンを処理するとなりやすいようです。
果実品質に大きく影響は及ぼしはしませんが、梱包のときに袋に入れづらくなってしまうので、極力ならないようにしたほうが良いです。
ですので、来年はジベレリンを処理するタイミングを2〜3日遅らせるようにします。
病気発生と袋掛け(7月)
ここまで調子良く栽培していたのですが、6月ごろに巨峰で謎のしおれ症状が発生しました。
結果としてはつる枯れ細菌病と判断したのですが、木の調子も悪くなり、果粒も脱落してしまったので、巨峰はこの時点で今年の収穫は諦めました。
残るシャインマスカットのほうは、7月上旬に袋掛けを行いました。
袋掛けをする時点ではまだ果粒が小さく感じますが、収穫時期の9月には十分大きくなるので大丈夫です。
最近はかすれ症軽減のために、緑色の袋をかける園もあるようですが、ぼくのところではいつもどおり白色の袋です。
収穫(9月)
ぼくの園の巨峰は、過去の経験から満開日から約75日後に最初の房が収穫できるようになります。シャインマスカットの方は、満開日から約100日後です。
今年は花が比較的早く咲き、シャインマスカットは5月26日でした。そこから100日後は9月3日となります。(ちなみに、巨峰は5月23日満開、8月6日収穫始めとなる予定でした…)
ただし、上記の日数による予測はあくまで目安ですので、最終的には味見をしてから売れるかどうかを判断します。
果樹の場合、木の性質上、枝の先端部分についた果実から熟す傾向にあります。枝の先端部分は養分が届きにくいため、肥大もやや緩慢で熟すのは早くなります。
ですので、先端部分についた果実を中心に味見しながら収穫するようにしました。
肝心の果実の出来具合ですが、他のシャインマスカットと比べていないので、確かなことは言えないのですが、やや味が薄く、皮が硬いように感じました。
味の薄さについては、糖度計がないので感覚の話ですが、糖度17〜18度ぐらいな感じです。本当にあまいものは糖度20まではいきます。糖度17〜18でも十分美味しく、たくさん食べるにはこれぐらいの糖度のほうがちょうど良いのですが、なんとなく物足りなさを感じてしまいました。
糖度を上げるには、着果数を減らしたり、着粒数を制限する必要がありますが、同時に収益も減ってしまうので、バランスが難しいところです。
一方、皮の硬さについてはフルメットの影響なのか、食べたあとなんとなく皮が口の中に残るような気がしました。
たまたま2回目のジベレリンを忘れてしまった房があり、そちらも食べてみたのですが、同じような皮の硬さでした。(さすがに2回目のジベレリンをしないと粒は小さいままでした。)
ですので、1回目のジベレリン処理時のフルメットの濃度が少し高かったのかなと考えています。来年は2ppm(今年は3ppm)にするのも検討しようかと思います。
売上
今年は巨峰の収穫が病気により収穫できなかったので、ブドウの売上はすべてシャインマスカットによるものとなりました。
単価の目安としては1kgあたり2500円〜3000円ぐらいですので、700gの房でしたら1800〜2000円のイメージとなります。
結論から言うと今年のブドウの売上は5万円ぐらいとなりました。
巨峰が無かったにも関わらず、この売上でしたら個人的には満足しています。
今年は比較的順調に売れたものの、直売所にはシーズンにもなると大量のシャインマスカットが売られるようになってきました。
去年までは出荷されていない方の名前も見るようになり、シャインマスカットの供給がかなり増えているものと感じます。
当初の計画では巨峰はシャインマスカットに切り替えるつもりだったのですが、この分ですと巨峰のままのほうがいいかもしれません。
まとめ
今年は全国的にカメムシの発生が多く、ナシやリンゴなどでは被害がかなりあったようですが(実際に僕のナシもそうとうカメムシにやられました(泣))、ブドウではそれほど影響もなく、無事に収穫することができました。
天気についても概ね恵まれ、良いブドウを作れたと自分では思っています。
ただし、ショットベリーを出してしまったり、皮がやや硬かったりとジベレリンの使い方についてはも少し勉強や研究が必要であることも認識できました。
次作では今回の反省を活かして、より良いブドウ作りに励んでいきたいと思います!
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