我が家では”家庭菜園で副業!”を目指して、現在ブドウを栽培しています。
一般的にブドウは平棚で栽培するのですが、我が家の小さい庭(30坪)での栽培であることから、ウチでは垣根仕立てを採用しました。
さらに、欲深い僕は2倍の果実を採るために、主枝を上下2段に配置にさせようと企んでいます。
2022年は初めてブドウ果実を収穫ができ、2023年は樹を大きくしつつ、更に収穫量を上げることを目標に栽培をしていきたいと思います。
今回は、ブドウが病気にかかってしまったので、その経過と対策をご紹介します。
ブドウの異変発生
5月下旬、いつもどおりブドウの管理作業を行っている際、ふとブドウを見てみると、「なんかしおれている」と感じました。
昨日もこんな感じだったかな?と疑う程度のしおれ具合で、もしかしたら勘違いかもしれないと思い、その時は深く気にしませんでした。
しかし、しばらく様子を見ても一向に改善の兆しが見えません。そこで改めて以前の写真と見比べてみたところ、やはりしおれていることを確認しました。
(このとき、ブログ用に写真を撮っておいて良かったと感じました。)
原因を考える
なぜしおれてしまったのか。その原因を考えると、しおれる直前に農薬を散布したことを思い出しました。
「もしかして薬害?」と思い、ブドウをよく観察してみました。すると、シャインマスカットは問題ないのに、巨峰だけがしおれていることに気づきました。
農薬はどちらも同じものを同じ量で散布しているので、農薬の違いによるものではないと推測しました。
症状
そこで再度ブドウを詳しく観察しました。症状は以下の通りです。
- 葉が水分を失ったかのようにしおれている
- 下位の葉は黄変し、一部は落葉している
- 新芽が黒く変色し、生育が止まっている
- 茎に黒いまだら模様が見られる
- 果実の軸も黒変している
これらの症状から、何かしらの病気である可能性が高いと考えるようになりました。
しおれる症状や黒いまだら模様は、通常の生理障害では見られないため、病気の可能性が濃厚です。
ただ、私が知る限り、このような症状を伴うブドウの病気は聞いたことがありませんでした。
(ちなみに、ブドウの主要病害である「黒とう病」とは明らかに症状が異なります。)
原因を特定
そこで、インターネットで「ブドウ 茎 黒変」と検索し、出てきた画像を実際の症状と見比べてみました。
どうやら「つる割病」と症状が非常に似ていることがわかりました。さらに調べていくと、「つる割細菌病」という病気もあることが判明しました。
症状から、「つる割病」か「つる割細菌病」のどちらかが原因だと結論付けました。
この2つの病気の違いは病原体にあります。つる割病はカビ(Phomopsis viticola)が原因で、つる割細菌病は細菌(Xylophilus ampelinus)が原因です。
カビと細菌は一見似ていますが、生物学的には全く異なるため、対策もそれぞれに適したものを行わないと効果が期待できません。
当初は、発生頻度が低い細菌病よりも、カビによる「つる割病」だろうと推測し、それに効きそうな農薬を散布するつもりでした。しかし、ふと疑問が生じました。
「今までカビに効く殺菌剤を撒いてきたのに、なぜつる割病を抑えきれなかったのだろう? 散布間隔や量も規定通りなのに…」
そう考えると、これまでの農薬散布で抑えられていない原因は、カビではなく細菌病ではないかと思い至りました。
つまり、「つる割細菌病」が原因だったのです。
対策を実施
つる割細菌病が原因と分かれば、あとは対策を講じるだけです。
正直、この結論に至るまでに約1か月かかり、その間に落葉や果軸の黒変、脱粒が進み、結局この年の巨峰は諦めざるを得ませんでした。
幸い、つる割細菌病に登録のある農薬「Zボルドー」を持っていたので、すぐに散布を開始しました。
Zボルドーは、無機銅と石灰を混ぜたボルドー液を商品化したもので、100年以上前にフランスで開発された歴史ある農薬です。
元々はブドウ泥棒よけとして白く着色するために散布されたものですが、べと病にも効果があることがわかり、農薬として広く使用されるようになりました。
私はこれまで、べと病がほとんど発生しなかったため、Zボルドーをあまり使用していませんでした。しかし、今回つる割細菌病が原因とわかり、散布しなかったことを後悔しました。
植物の病気は一度発生すると、その後に農薬を撒いても抑えきれない場合が多く、最悪の場合枯れてしまいます。
今回のつる割細菌病も、導管内に細菌が入り込み、全身に広がってしまったため、Zボルドーを撒いても回復は期待できず、感染拡大を抑える程度だろうと思っていました。
しかし、実際に散布してみると、驚くことにブドウの葉は元気を取り戻し、新芽も再び成長し始めました。
1か月間苦しんでいたブドウが、まるで嘘のように回復したのです。
まとめ
5月下旬ごろ、ブドウの葉がしおれ、新芽の枯れや茎の斑点が発生しました。症状から病気を推測し、過去の農薬散布履歴から「つる割細菌病」であると判断しました。
そして、つる割細菌病に効果がある農薬を散布したところ、見事にブドウが回復しました。
今回のように病気の特定と対策がうまくいくことは珍しく、正直なところ、感染したブドウの樹を切るしかないかと思っていました。
しかし、来年も巨峰を栽培できることがわかり、本当に助かりました。
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